DOPE/ドープ!! (2015):映画短評
DOPE/ドープ!! (2015)ライター2人の平均評価: 4
ヘビイさ寸止め演出がクセになる
論文テーマに、“アイス・キューブの「サウス・セントラルの平和な日々」について”を選ぶナードな主人公など、笑いと童貞力が混在する“ヒップホップ版『スーパーバッド 童貞ウォーズ』”と思わせて、まさかの急展開。とはいえ、文系ヲタ3人と重なる「BUGGIN' OUT」や映画主題歌でおなじみ「Juice」などの絶妙な使われ方やら、“囚われの花嫁”と別キャラなゾーイ・クラビッツのマドンナっぷりやシャネル・イマンの壊れっぷりやら、ヘビイさ寸止めの演出が意外なスパイスに。さらに、“成功の道は己で切り開け!”と言わんばかりの『トレインスポッティング』に共通する着地の巧さにも驚きだ。
内的外的な障害物を"軽やか"に飛び越えていく
映像のリズムの軽快さが、主人公の身のこなしの軽やかさとシンクロ。全編に大量投入のギャグも軽い。L.A.のスラムで暮らす黒人男子高校生が、学業優秀でハーバード大を目指しつつ、オタクで、好きなTVは「ゲーム・オブ・スローンズ」で、クラスの不良たちにイジメられてスニーカーを取られたりしながら、クラスのハミダシ仲間とパンクバンドを組んでいる。そうやってこちらの先入観を軽々と打ち破りつつ、ドラッグ売買絡みのトラブルを、これまた軽やかにくぐり抜けていくのだ。本作のファムイーワ監督が、映画版「フラッシュ」の監督に抜擢されたのも納得。この軽快なリズムは、きっとあの"快速"を誇るスーパーヒーローによく似合う。