地獄に堕ちた野郎ども (2015):映画短評
地獄に堕ちた野郎ども (2015)ライター2人の平均評価: 4
綺麗事では終われない!オリジナルパンクの切ない真実
ダムドは英パンク・シーンで最初にレコードを発表し、現在も活動を続けているバンド。その長い歴史を追うとともに、デビュー作にして名盤『地獄に堕ちた野郎ども』を作ったメンバー4人にフォーカスする。
現在も在籍するオリジナル・メンバー2人の活動と併せ、辞めた2人の発言も挟まれるが、そこから浮かび上がる(金銭面を含めた)対立の無常観に言葉を失う。不動のラインナップと思えた4人が今後、二度と同じステージに立つことがない、その事実が切ない。
ファン心理的な感傷はともかく、軋轢に深く切り込んだ、作り手のドキュメンタリー作家としての勇気は評価されるべき。深刻なだけでなくユーモラスである点もイイ。
評価されそうな時にケツを出しちゃうバンド!
面白かったなあ。『極悪レミー』のオーショスキー監督にしては編集・構成がごちゃついてるが、ダムド自体の40年の歴史が混乱・分裂・迷走だらけの規格外なものだから仕方ない。にもかかわらず「ブラックコメディ」「パーティ」「完全にふざけてる」など一貫した個性と、やたら高い音楽性を保持しながら、唯一無二の現役バンドとして活動する今の彼らに肉薄する。
ピストルズやクラッシュに比べ俺たちは…という“残念”節が繰り返されるが、それこそマニア好みな魅力。数多いロック/パンクドキュの中でも最も「娯楽映画」な気がする。爆笑あり、色々涙あり。77年からずっとライヴ通いしているというおっかけの爺ちゃんが忘れられない。