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人生フルーツ (2016):映画短評

人生フルーツ (2016)

2017年1月2日公開 91分

人生フルーツ
(C) 東海テレビ放送

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

中山 治美

またも東海テレビにやられた!

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

一見、スローライフを送る老夫婦の人生ドラマ。
だが、そこは数々の問題作を発表してきた東海テレビ。安易な感動作は作らない。
夫は建築家。
ニュータウン計画で自然との共生を提案したものの却下され、ならばとその一角に土地を買い緑溢れる暮らしを実践。
50年かけて耕された庭には野菜や果実がたわわに実り、今も街の緑を守っていると言う。
なんたる反骨精神。おそるべき意志の固さ。
夫に寄り添ってきた妻が言う。
「晩年になって(夫は)良い顔になった」と。
後半、その究極の表情をカメラは捉える。
生き方は顔にでる--。
図らずしもその真実を本作が証明してしまった。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

「良い顔」は、強くて柔らかな生き方の証

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『平成ジレンマ』『ホームレス理事長』『ヤクザと憲法』等、強烈な問題作を連射する東海テレビ物の中ではむしろ異色作か。スローライフを営む“かわいい”老夫婦の姿が映し出され、最初は北欧のドキュメンタリー?と思うほど。だがやがてこれは骨太な「思想の実践」を核にした営為の記録だと判る。

ニュータウン計画に関わっていた建築家・津端修一さんは、高度経済成長期の風潮への違和感から既に現代の問題を先取りし、D.I.Y.で緑と果実に囲まれた暮らしを開始した。癒しの空間はハードコアな信念の賜物であり、夫婦の生活は人間性への「問い」そのもの。団地の現在など住居を通した日本論として傑作『桜の樹の下』と併せて観たい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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