トッド・ソロンズの子犬物語 (2015):映画短評
トッド・ソロンズの子犬物語 (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
人間の本質って本人にしかわからないね
飼い主が次々に変わるダックスフンドを軸に人間の本音に迫るオムニバス形式の物語だが、犬視点で人間をディスるわけではなく、あくまでもトッド・ソロンズ監督の視点だ。ときに意地悪く、ときに共感度たっぷりに登場人物の心境を暴いていく。4章のなかでいちばん楽しかったのが第2章! あの『ウェルカム・ドールハウス』のブスっ子ドーンと不良少年ブランドンのその後が描かれてるじゃないか。ドーン役がヘザー・マタラツォじゃなくグレタ・ガーウィックなのが残念(美人に成長し過ぎ)だが、コミュ障ゆえの職業選択にリアリティあり! それにしても、ソロンズ作品を見るたびに人間の本質は見た目だけではわからないと懐疑的になるな〜。
インターミッションにシビレる
真髄は、88分の映画にあえて挿入されたインターミッション。ダックスフンドがアメリカ全土を歩いて横断していく映像に、西部劇調の歌が流れる。人々は今も夢を求めて荒野を歩き続けているが、その旅の連れは今や俊足の馬ではなく、足の短いダックスフンドなのだ。
安定のトッド・ソロンズ。しょうもない人間たちを描いて、彼らを笑わずしかし許すわけでもない。しかしちょっと切ないのは、登場人物の何人かは自分のしょーもなさを知りつつそれでも歩いているからだろう。監督の「ウェルカム・ドールハウス」のヒロイン、ドーンが再登場。中学生だった彼女がどんな20代になったのかも見もの。