新宿スワンII (2017):映画短評
新宿スワンII (2017)ライター2人の平均評価: 2.5
ありがちなヤンキー映画となった続編
スカウトマンをヒーローに仕立てるのもいかがなもんかと思いつつ、人情味溢れる新米スカウトマンの目を通して描かれる歌舞伎町の裏人間模様に魅力のあった前作だが、今回の続編は新宿と横浜の2大スカウト勢力による全面抗争を描くことで、極めてありがちなヤンキー映画になってしまったという印象だ。
幹部同士の因縁深い愛憎の人間ドラマといい、お互いの存亡を賭けたというキャバ嬢のクイーンコンテストといい、プロットの一つ一つが安直かつ紋切り型であるため、豪華な役者陣のハイテンションな体当たり演技も空回りしているようにしか見えない。中野裕太のイラっとするほど薄気味悪い悪役ぶりはさすがだけれどね。
待ちに待った続編だが、パワーダウンは否めない
前作では、深水元基の魅力が爆発していただけに、彼演じる関と旧友・滝との関係を描く「横浜王国編」の映画化はファンとしては嬉しく、滝役に浅野忠信を配する“もっと!スカウト版『クローズZERO』”を狙った山本又一朗Pの抜け目なさを感じる。だが、2人の「ハイロー」的アツさを求めると、意外に肩透かし。ヒロインを務めた広瀬アリスの存在感も、前作の沢尻エリカの足元に及ばず。極め付けは、まったくルールが分からないキャバ嬢コンテスト! いろいろと交通整理ができてない状態で、133分の尺はやっぱり長い。よって、パワーダウンしてしまったのは否定できないが、谷垣健治が参加したアクション・シーンだけは別格だ。