ウォーナーの謎のリスト (2016):映画短評
ウォーナーの謎のリスト (2016)もし、戦争でこれらの文化財が破壊されていたら…
金高謙二監督の前作は、東京・日比谷図書館の蔵書を人海戦術で疎開させた史実を追った『疎開した40万冊の図書』(13)。
今回はさらに視野を日本全体に広げ、文化財保護に奔走した人たちの足跡を、米国に遺る公文書や多数の関係者のインタビューで紐解いていく。
作業は実に緻密で丁寧。
さらにそこから、東京の古書街・神田神保町が焼け残った謎などにも迫り、ミステリーとしての醍醐味もある。
それにしても米軍の攻撃の精密度の高さや、終戦後、日本人が米国に対して憎悪を増長させないようにとする用意周到な戦略に感心すら抱く。
改めて、この文化財同様の配慮が人命にもあったなら…と苦い思いを抱かざるを得ない。
この短評にはネタバレを含んでいます