T2 トレインスポッティング (2017):映画短評
T2 トレインスポッティング (2017)ライター3人の平均評価: 4.3
歳をとるブザマさも笑い飛ばしてしまえ!
スタイリッシュと評された前作。確かに絵と音の融合は今回もインパクトがある。が、エッジは消えた。なぜか? 登場人物がオッサンになったから、だ。
トレインスポッター、すなわち機をうかがい、それに飛び乗ろうとする野心家であった主人公レントンに、もはやその才はない。前作では彼のナレーションが状況を客観視するトレインスポッターぶりを如実に表わしていたが、本作ではそれも希薄だ。
しかし20年という年月の重みを知る者には頷けるし、笑えもする。ロクな成長もせず歳だけとるのはブザマだが、裏を返せば伸びしろがあるということ。その象徴としてのイギー・ポップ“ラスト・フォー・ライフ”にグッときた。
やっぱり音楽がいろんなことを語ってくれる
前作で「ボーン・スリッピー」が鳴り出した途端、"これが今この時代の気分の音だ"と確信した。果たしてこの続編でそういう音に出会えるのか。個人的にはそうした音には出会えなかったが、今の自分の気分にしっくりくる音は流れた。その音は今この時代の音ではなかったが、思えば年齢を経るということはそういうことなのか。そう思わせるのが監督の意図なのか。何しろ前作の20年後を描く続編。スクリーンのこちら側でも同じだけ年月が経っている。旧友に再会したかのようにこの年月に思い巡らさずにはいられない。
主要登場人物4人の変わらないものと変わってしまうもの、双方を描くストーリーが巧み。前作をきっちり継承する続編だ。
サイテーで、最強の、同窓会映画!
ユアン・マクレガーがオビ=ワンに、ダニー・ボイルがオスカー監督になろうが、未来を選んだ4人が、20年ぶりに「ラスト・フォー・ライフ」とともに戻ってきた! 続編小説「ポルノ」をベースにしながら、シックボーイがポルノ映画じゃなく、“夜の店”で一発狙うなど、ジョン・ホッジの脚色は絶妙。復讐の鬼と化したベグビーなど、何も変わっちゃいない野郎どもの悪あがきは、松ケン版「ど根性ガエル」のようで、一人しっかりオトナになったダイアンの登場シーンには胸を締め付けられる。よって、リアルタイムで続編を観たおっさんは号泣必至。しかも、新キャラ・ベロニカを演じるアンジェラ・ ネディヤコバのエロさがハンパないんスから!