アランフエスの麗しき日々 (2016):映画短評
アランフエスの麗しき日々 (2016)70歳を過ぎた巨匠ヴェンダースの飽くなき探求心に感服
これは激しく賛否両論あって然るべき作品であろう。巨匠ヴィム・ヴェンダースの新作は、舞台を一つに限定した男女2人の会話劇。とある晴れた夏の日の午後、パリ郊外の美しい田園風景に囲まれた邸宅、太陽が降り注ぐ庭先のテラスで、一組の男女が人生や恋愛についての談義を交わし、その様子をタイプライターの前に座った作家がじっと見つめる。
ただそれだけなのだが、どこか不思議な感覚で流れていく時間、ジュークボックスから聴こえてくるノスタルジックな音楽、眩い木漏れ日の光やそよ風の音色などなど、それらが混然一体となって独特な世界を構築する。見る人を選ぶ映画だが、映像作家ヴェンダースの飽くなき探求心には感服する。
この短評にはネタバレを含んでいます