ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ! (2017):映画短評
ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ! (2017)ライター3人の平均評価: 4
往年の戦争映画にも似た“意気”を感じさせる快作
アウトロー兵たちがナチスの金塊を奪うという大筋から連想したのが『戦略大作戦』。本作はそれとは時代設定も情勢も異なるものの、ある種の痛快さを感じさせるという点では通じるものがある。
注目すべきはクライマックスのほぼ全編が水中で展開すること。それゆえの危険や窮地を整然と描いている点が秀逸で、潜水服によってキャラがわかりづらくなる不安を感じさせない。何より、こういうクライマックスを用意している戦争アクション自体が珍しい。
そんな物語から浮かび上がるのは、男たちの“意気”。『戦略大作戦』が作られた60~70年代の戦争映画のエッセンスが甦ったようで楽しんだ。J.K.シモンズの味な演技も光る。
埋蔵金といえば徳川でしたが、ナチスも!?
第二次大戦中にナチスが奪った金塊を探す、という徳川の埋蔵金探しプロジェクトのような映画だ。金塊の奪還を試みるのがツワモノ揃いのネイビーシールズだから簡単のはずが、サラエボ紛争中の敵地に潜り込み、8時間以内で撤収せよという設定でワクワク感を誘う。危機また危機はR・ベッソン製作B級映画のお約束だが、どんでもない回収はしないので「ケッ」とはならない。かなりな度合いで楽しめる痛快アクションだ。『ブラインドスポット』で認知度が上がったサリバン・ステイプルトンと『セッション』でオスカー受賞したJ・K・シモンズ以外はメジャーな役者は出ておらず、製作陣はストーリーとアクションで勝負したってことですね。
テレビ洋画劇場世代の琴線に触れること必至の戦争アドベンチャー
時は’90年代半ば、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争末期のサラエヴォで、荒くれ者ばかり揃った米海軍特殊部隊=ネイビーシールズの面々が、第二次世界大戦中に湖へ沈められた町に眠るナチスの金塊を運び出そうとする。戦場バトルあり、水中アクションあり、秘宝アドベンチャーありと、一粒で何度も美味しいヨーロッパコープ印の戦争エンターテインメントだ。
ストーリーはまるで『戦略大作戦』。ノリ自体も『特攻大作戦』とか『ナバロンの要塞』とか…いや、むしろそれらをパクったイタリア産戦争アクションに似た軽さがある。いずれにせよ、テレビ洋画劇場世代にはたまらない懐かしさが魅力。難しいこと考えずに楽しめること請け合いだ。