月夜釜合戦 (2017):映画短評
月夜釜合戦 (2017)サンクチュアリ重喜劇
広範囲に爆発&越境する『岬の兄妹』に対し、こちらはアンダーグラウンドの愛され作といったところか(奇しくも監督は共に81年生)。『(秘)色情めす市場』への補助線はより直線的に引け、例えばスマホは一切出てこず置いてあるのは黒電話。昭和の薫りがする「シュミーズ」を着た女たち。ドキュメンタルな中にレトロ要素を濃厚に練り込んでるところも、時代の位相をフラットに見据える『岬~』とは対照的。
『山谷 やられたらやりかえせ』への献辞的な台詞もあるが、注目したいのは隔離や撤去の主題。ドヤ街をある種「失われし文化」として捉え、猥雑な聖域としてのコミュニティ賛歌を奏でる。山本政志の系譜といった見方も可能かと思う。
この短評にはネタバレを含んでいます