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人魚の眠る家 (2018):映画短評

人魚の眠る家 (2018)

2018年11月16日公開 120分

人魚の眠る家
(C) 2018「人魚の眠る家」 製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

くれい響

原作ファンも納得の仕上がり!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『明日の記憶』など、シリアス路線だと、やたらクオリティが高くなる堤幸彦監督作だが、本作もご多分に洩れず。とはいえ、テーマが“脳死”だけに、予想以上にヘヴィである。意識不明の娘への愛ゆえに狂気に走っていく篠原涼子演じるヒロインに、純粋さゆえに盲目的になる坂口健太郎演じる研究員ら、彼女に巻き込まれていく者たち。ときにホラーにも見える、活字だけでは見えなかった彼らの微妙な感情な動きは、原作ファンも納得の映画化といえるだろう。初の映画音楽となるアレクシス・フレンチが奏でる旋律も泣かせるうえ、間違いなく女優・篠原涼子の代表作でもある。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

脳死、という重大問題に向き合った真摯な物語

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

幼い娘が脳死状態となった夫婦の選択から浮かび上がるさまざまな人間模様、人間関係に考えさせられる家族ドラマだ。脳死は死なのか?目は覚まさないけれど、肉体は健やかな状態の娘を必死で守る母親像に共感しつつも、心の片隅に違和感を持つ。この心のざらつきが最後にすっきりと解消される展開は、東野圭吾の筆力もあるが、篠原涼子の演技力によるところが大きいだろう。彼女自身が母親であり、ヒロインの心情を深く理解しているのが伝わってくる。非常に重いテーマを扱っているが、人間の尊厳や生死問題をきちんと扱った真摯さに好感が持てる。ずっと目を瞑ったままの演技に挑んだ稲垣来泉ちゃんにも拍手!

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

篠原涼子・賛

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

篠原涼子の主演映画はTV派生の『アンフェア』を除くと、意外にも『SUNNY』に続き2作目。その意味で今年が「元年」なわけだが、共に母親役で、全く異なった葛藤を充実した芝居で魅せる。これで40代女優としてのパワフルな求心力を発見する人も多いかも。その骨太の迫力の下、絶好調の若手・坂口健太郎&川栄李奈から田中泯までの座組みが端正にまとまっている。

内容は、ほぼ日本独自の脳死と心臓死にまつわるグレーゾーンからぐいっと主題を広げていき、異常な様相に突入。ホラー的な不穏さや狂気とも言えるが、堤幸彦監督は中道からのコースアウトを禁じてまっすぐ語り切る。原作を未読なら、よりお話の強さを堪能できると思う。

この短評にはネタバレを含んでいます
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