リバースダイアリー (2017):映画短評
リバースダイアリー (2017)ライター2人の平均評価: 4
スタイリッシュに残酷、ドロドロの恋愛サスペンス
撮影は海外のTVシリーズに携わっているトム・シュナイト。
『愚行録』同様、海外のカメラマンが手がけると日本特有の湿度が減少し、見慣れた風景も実にスタイリッシュに映るから新鮮だ。
だがその中で繰り広げられるのは男女5人の愛憎劇。
復讐にストーカー、殺人未遂など火サス並の驚愕事件が勃発するのだが、抑えた演出と乾いた映像で良質のサスペンスに昇華されている。
個人的には負の感情がもう少し見たかったが。
しかし、自主映画はかつて自身の半径1mの世界を描いていると揶揄されてきたが、
『カメラを止めるな!』を始めエンタメ志向の粋の良い作品が出てきたのは喜ばしい限り。
日本映画の新たな息吹を感じるだろう。
描写に確かな力が宿る愛憎サスペンスの秀作
人が人を好きになることのもどかしさ、切なさ、苦しさに軸を置き、時間軸を入れ替えながらサスペンスフルに愛憎模様を見つめた秀作。
騙され、利用される男たち、騙し、利用する女たちの、いずれの気持ちが理解できるのがミソ。きめ細やかな心情描写が活き、なおかつ俳優陣が呼吸をしているよう自然体の演技を見せ、その表情の機微をすくいとるカメラワークもいい。
インディーズ作品が陥りがちな独りよがりな視点は皆無で、エンタテイメントとしての完成度は高い。ハッとさせられる美しい映像に加え、毒を盛られたコップを口に運びそうで運ばない場面のサスペンス描写も光る。新鋭、園田新監督の名は、ぜひ覚えておきたい。