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十年 Ten Years Japan (2018):映画短評

十年 Ten Years Japan (2018)

2018年11月3日公開 99分

十年 Ten Years Japan
(C) 2018 “Ten Years Japan” Film Partners

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

山縣みどり

問題に対するふわっとしたアプローチが日本っぽいのかも

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

中央による政権掌握や言論統制といった市民が直面する政治的問題を扱った香港版と比べてしまうのはやむを得ない。日本版の若手監督たちの視点がデジタル遺産やAIによる画一的教育、環境汚染などに向いていると実感させられた。唯一、石川慶監督が徴兵制を扱って、今の安倍政権が主張する“美しい日本”の気持ち悪さに一石を投じている。が、語り口はテーマにズバリ切り込まない迂回策といった印象が否めない。見終わって気づいたのだが、どの監督も問題に対してふわっとしたアプローチをしている。実はこれこそが日本っぽさなのかもしれない。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

10年後の日本社会を予見する5つの物語

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 中国本土で上映禁止になった香港映画『十年』の日本版。10年後の近未来を予想するというオリジナルの基本コンセプトだけを継承し、5人の映像作家がそれぞれの視点から10年後の日本社会を占うオムニバス作品だ。超高齢化や環境汚染、AIの進化に社会の右傾化。中央政府に対する強い不信感が顕著だった香港版に比べると、日本版は一見したところ全体的にソフトで穏やかな印象を受けるのだが、しかしだからこそ、日本の現状を踏まえた上での「こうなるかもしれない」「こうなって欲しくない」未来予想に静かな説得力が備わり、平和な表層の裏で不寛容や無関心が蔓延する日本社会の行く末に対する危機感がひしひしと伝わる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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