マチルダ 禁断の恋 (2017):映画短評
マチルダ 禁断の恋 (2017)ライター2人の平均評価: 3
帝政ロシアの栄華を再現した絢爛豪華なセットや衣装は必見
帝政ロシア最後の皇帝ニコライ2世と、マイリンスキー・バレエのプリマドンナ、マチルダ・クシェシンスカヤの禁断のロマンスを描いた歴史ドラマ。ロシア国内では、皇帝を神聖視する過激な愛国者たちが上映禁止運動を起こして話題となったが、我々日本人からすれば「何が問題なの?」と首を傾げるところだろう。道ならぬ恋に燃え上がる若い男女を巡って、宮廷内の様々な政治的思惑や陰謀が渦巻ていくわけだが、エピソードを詰め込み過ぎて脚本が浅くなってしまったことは否めず。特に主人公2人の心理描写は掘り下げが足りない。とりあえず、エカテリーナ宮殿でのロケを含めた絢爛豪華なセットやコスチュームの数々は見応えあり。
乙女チックにまとまったロシア版“王冠をかけた恋”
ライバルの策略で衣装がはだけ、舞台上で露わになったマチルダの乳房にニコライ2世の目が釘付けとなる出会いからしてロマンス小説風だ。悩める皇太子に狂気的なドイツ人医師、皇太子の許嫁、マチルダに横恋慕する男たちと登場キャラもとても少女漫画っぽい。ロマノフ王朝、ドラマティックなり! 衣装や美術も豪華でいい。ただ、つま先を血に染めながらグラン・フェッテを特訓し、皇帝との結婚を切望した野心家マチルダを悲恋のヒロインに仕立てた監督の解釈には違和感あり。頂点を目指して画策した女性として描いたほうが腑に落ちた気がする。演じたM・オルシャンスカは目つきが妖しく、一筋縄ではいかないマチルダ役にぴったりだった。