ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡 (2017):映画短評
ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡 (2017)ライター2人の平均評価: 4
ロックスター? ノー! ミュージシャンです!!
前半は“デビッド・ボウイのドキュメンタリー?”と一瞬思ってしまう。“ボウイの隣で”というタイトルからすれば仕方のないところだが、それだけが理由ではないことが後にわかってくる。
創作の全盛期の彼の脇でギターを弾き注目されたM・ロンソンの本質は、イケメンのルックスではなく、音楽面にあったことを検証する本作。多彩なアーティストの裏方としてのきらめきに焦点を当てた点に、視線の鋭さを覚える。
ソロ活動の失敗の一方で、多くの名曲に貢献したロンソンはボウイのようなロックスターにはなれなかったが、ロックスターを輝かせる力を確かに持っていた。脇役として輝いた者の光と影。そんなドラマにグっとくる。
『ボヘミアン・ラプソディ』ファンもここまで補助線を
『世界を売った男』~『アラジン・セイン』を聴き狂っていた時期、自分が好きなのはボウイよりミック・ロンソンかも?との想いが消せなかった。メロウなフレーズ、ざくっとした手触りが伝わる色気満点のカッティング。サウンドメイクの天才ながら自身を煉瓦職人に譬える箇所があるが、彼の無骨な人柄は今回初めて知った。そして(ソロ『十番街の殺人』は最高だが)「二番手」の立ち位置でこそ活きる次元大介的な男前である事を立証していく。
尺は104分で、クイーンからはR・テイラー登場。ロック史の名脇役シリーズ的には超大玉だけに、正直4時間位のボリュームが欲しい。『ロニー~MODSとROCKが恋した男~』との二本立て希望!