貞子 (2019):映画短評
貞子 (2019)ライター2人の平均評価: 3
ホラー職人の見事な仕事ぶりを堪能
アトラクション的なエンタメから本格ホラーへの原点回帰。”呪いのYouTube”という現代らしいアップデートはなされているが、中田監督作品らしいショック描写を楽しんだ。
闇、格子、水の効果的な配置、色が死にかけたかのようなモノトーンに近い色彩、見えそうで見えないジラシなどが活きて、不安をかきたてる。恐怖演出の妙はヒロイン、池田エライザの表情の捉え方にも表われており、一緒になってドキドキさせられる。
他のユーチューバーの動画にも“それ”が写っている理由が投げ出されたままで、物語的に釈然としない点はあるものの、ショック・ホラーとしては満足。残された謎は、続編での解明に期待したい。
1作目のファン心をくすぐりながら、原点回帰
怪作『貞子vs伽椰子』でイクところまでイッてしまっただけに、ある意味、軌道修正というか原点回帰。そのため、今やJホラーの王道といえる中田秀夫監督の恐怖演出が炸裂。近年、作品ごとに違った顔を魅せる池田エライザが、行方不明になったYou Tuberの弟を救おうとする姉を熱演し、スクリーム・クイーンっぷりも見どころだ。とはいえ、『リング2』では精神病院送りになっていた倉橋雅美を演じる佐藤仁美のインパクトにはかなわないわけで、ほかにも1作目のファン心をくすぐるネタもいくつか登場。一方、1作目のフォロワーである『ラ・ヨローナ ~泣く女~』と同様、児童虐待が裏テーマになっている点も興味深い。