カイジ ファイナルゲーム (2020):映画短評
カイジ ファイナルゲーム (2020)ライター3人の平均評価: 2.7
いろいろと雑な「完結編」
肝心のオリジナルゲームに関しては、初っぱなの『ドラゴンロード』<<<長洲島の饅頭祭的な「バベルの塔」がそれなりに盛り上がるも、メインであるはずの「最後の審判~人間秤」の設定・展開が恐ろしくグダグダ。これをめぐる蜷川演出の洗礼を受けた藤原竜也と吉田鋼太郎のシェイクスピア芝居対決の方が盛り上がっており、本末転倒だ。しかも、肝心の伏線回収も苦笑するぐらい、かなり雑。おなじみのキャラに加え、徹底的に悪役をやりきっている福士蒼汰らの存在にかなり助けられているものの、フォロワーであった『映画 賭ケグルイ』に及ばないだけでなく、前2作のファンも落胆させる仕上がりになってしまった。
オリンピック後の日本の風景は、意外にリアルかも
「なぜ藤原竜也は映画でも舞台のようなセリフ回しなのか」という疑問は、このカイジ役に不要。大仰な演技が世界観にフィットし、ひとつの境地さえ感じさせる。しかも今回は相手が吉田剛太郎。スクリーンを見つめながらシェイクスピアや蜷川幸雄の舞台に接するような、うれしい錯覚も。
登場するゲームも原作と違って新しく創作され、ビジュアル的派手さは、たしかに映画的。カイジの原点であるジャンケンのシンプルさが、そこにうまく融合するかの判断は人それぞれか。
思いのほか切実に感じたのはオリンピック後の日本の不景気。もちろん大げさに描かれてるが、最近のニュースを見るにつけ、リアル近未来のようで、ちょっぴり怖くなった。
コンゲーム映画への深化
久しぶりに帰ってきた藤原竜也=カイジの最新作。
この年月によりカイジが新田真剣佑や福士蒼汰、関水渚と言った若手を受け止める側に回ったことで、映画の見え方も変わりました。ラストシーンの佇まいなど貫録の違いのようなものを感じさせます。
シェイクスピア繋がりの吉田鋼太郎と脳を疲れさせる絶叫芝居や、もちろん悪魔的な生ビールに溺れる姿も健在です。
映画の形も難解な心理ゲームの映画というより、コンゲーム(=騙し合い)の映画へと深化・進化しています。一味違う完結編です。