ドリーミング村上春樹 (2017):映画短評
ドリーミング村上春樹 (2017)パラレルワールドに誘う、かえるくん
外国人から見た村上春樹、そして日本語の難しさ。意外にも、デンマーク人翻訳家のお仕事映画としての要素は薄いが、村上春樹本人が出演せずとも、深夜のデニーズにピンボール、首都高に二つの満月と、カメラはハルキストにはたまらない情景を捉えるなど、“分かっている”人間が手掛けるドキュメンタリーといえるだろう。しかも、CGでかえるくんを登場させ、ねっとりした声でモノローグを担当。そのインパクトに驚いているうちに、小説と同じパラレルワールドを彷徨っているような感覚に陥る仕掛けだ。また、劇場公開のために権利をクリアしたザ・ヴェルヴェッツの「愛しのラナ」も、いいスパイスになっている。
この短評にはネタバレを含んでいます