国家が破産する日 (2018):映画短評
国家が破産する日 (2018)ライター2人の平均評価: 3.5
まるで日本の近未来を占うような内容に戦慄!
韓国経済を揺るがせた‘97年のアジア通貨危機の舞台裏で、国家の破産という最悪の事態を防ぐべく奔走した人々の姿を描く。あくまでも実話を元にしたフィクションだが、それでもなお当時の舞台裏の赤裸々な事情にズバズバと斬り込んでいく、手加減のない大胆さには圧倒される。これぞ日本にはなかなか真似できない韓国社会派映画の醍醐味だ。確実に迫った経済破綻の危機を目前にして、大勢の中小企業や庶民の生活を守るより、一部の財閥企業や富裕層の生き残りを最優先させる韓国政府。この機に乗じて韓国市場を食い物にしようとIMFを背後で操る米国政府。まるで今日本で起きつつあることを想起させるような内容に思わず戦慄する。
ある程度の予備知識を要する骨太な一本
韓国銀行の通貨政策チーム長に、金融コンサルタント、そして食器工場経営者と3人の視点から描かれる1997年のIMF通貨危機。まさに他人事とは思えない内容だが、3人をキム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノが演じ、じつはラスボス的存在であるIMF専務理事にヴァンサン・カッセルを配することで、全編ドラマティックに彩られる。ユーモアは皆無だが、大統領選やアメリカ政府までも絡み、専門用語が飛び交うなど、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を意識している部分も見られる。正直、もうちょいエンタメ要素がほしかった感もあるが、厳しい現実に直面しながらも希望を持たせるエンディングなど、決して悪くない。