約束のネバーランド (2020):映画短評
約束のネバーランド (2020)ライター3人の平均評価: 4
偽りの楽園に反旗を翻す少年少女を描く寓話的ディストピア物
原作コミックの予備知識ゼロにて鑑賞。少年少女向けの夢と冒険に溢れるファンタジー…かと思いきや、これがなかなかハードな寓話的ディストピア物だった。子供たちの明るい笑顔が絶えない平和な孤児院の裏に隠された残酷な秘密。そこは理想郷のように見せかけた地獄だった。その事実を知ってしまった少年少女が、自分たちの未来と運命を変えるために脱出を試みる。無垢な若者たちを文字通り食い物にする偽りの楽園は、さながら現代日本社会の写し鏡。どこまでも前向きで理想主義的なヒロインの不屈の精神が、決して斜に構えず諦めず、大人の言うことに疑問を持ち、現実を受け入れるよりも変えていくことの大切さを訴える。
原作のスピリットを踏まえた大脱走的序章
キャラ設定と役者の年齢の差や”鬼”の描写など原作のファンとしては見る前は不安もあったが、前者は設定変更でクリア、後者はCGで乗り切り、ハウス脱出までの物語を巧くまとめ上げた。
脱出がいかに困難であるかを密に描いており、スリリングな逃走劇として、よくできている。“誰も死なせたくない”というヒロイン、エマの強い気持ちも脈づき、ドラマにも熱気が。そういう意味では、原作のスピリットを的確にとらえた映画化。
キーパーソンは、やはり主役の浜辺美波。物語が進むほどエマの天真爛漫なキャラが染み出てきて、役との年齢差が気にならなくなるどころか、エマそのものに思えてくる。早くも続編が楽しみ。
浜辺美波VS北川景子!!
日本人による、日本ではない国(地域)を舞台に、日本人でない(と思われる)キャラクターが登場するダークファンタジー。
邦画の中でも鬼門中の鬼門と言えるジャンルの映画ですが、なかなかどうして見応えがあります。
偏に主演の浜辺美波の持つ説得力と、裏主役ともいうべき北川景子の存在感によるところが大きいと思います。
浜辺は若干不安定さを感じさせる城桧吏、板垣李光人をしっかり引っ張りますし、北川景子は独自の二面相と余裕で渡辺直美という飛び道具もしっかり受け止めます。
こういうジャンルはちょっと…という方こそお試しください。