もち (2019):映画短評
もち (2019)尾野真千子と重なって見えるヒロイン
岩手県一関市のもち文化を描くという、地域のプロモーション映像から派生した一風変わった作品ではある。とはいえ、伝統を繋ぐことの大切さというテーマの下、描かれるのは、祖母の死に始まり、中学校の閉校に、親友の引っ越し、そして憧れの人との別れ。そんな14歳の少女・ユナの中学生活最後の1年に起こるエピソードの数々は、まさに普遍的なものであり、誰もが心動かされるはず。そんなフィクションでありながら、ドキュメンタリーに見えてくる仕上がりは、『萌の朱雀』のようで、ユナを演じる地元の中学生・佐藤由奈の初々しく凛とした姿も、尾野真千子と重なって見える。また、明星Akeboshiの音楽も印象的だ。
この短評にはネタバレを含んでいます