X(エックス) 謀略都市 (2018):映画短評
X(エックス) 謀略都市 (2018)1週間限定公開が勿体ないハンガリアン・ノワールの傑作
近年素晴らしい傑作・秀作を次々と世に送り出しているハンガリー映画界だが、本作もまたそのひとつと言えよう。舞台はブダペスト。互いに無関係と思われた老人の自殺事件が、実は連続殺人事件である可能性が浮上。やがて社会主義時代の亡霊が不気味に姿を現し、それが現代のハンガリー社会を蝕む腐敗や堕落へと繋がっていく。どことなく『ミレニアム』三部作を彷彿とさせるプロットだし、ダークな演出にも北欧ノワールの雰囲気が漂うものの、緻密に練られた脚本の構成が見事で、ブダペストの街並みを様々な角度から捉えた浮遊感のあるカメラワークにも魅了される。パニック障害を抱えた女刑事を演じるモーニカ・バルシャイの芝居も圧巻。
この短評にはネタバレを含んでいます