ADVERTISEMENT
どなたでもご覧になれます

シェイクスピアの庭 (2018):映画短評

シェイクスピアの庭 (2018)

2020年3月6日公開 101分

シェイクスピアの庭
(C) 2018 TKBC Limited. All Rights Reserved.

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

山縣みどり

逸話を巧みに組み立てた、本当にあったかもな物語

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

シェイクスピアの死後、彼が植えた桑の木を見物に来る人が絶えなかった屋敷の庭が作られた背景に注目した家族ドラマ。天才作家にまつわる逸話を巧みに組み立て、数々の謎に答えを出しているのが面白い。長年、放置していた妻子との関係修復や女であるがゆえにないがしろにされていた娘のアイデンティティ探しなど現代女性も共感する部分が多い。ターナーの絵画を思わせる美しい風景と宗教が生活と密着していた時代を実感させる衣装が素晴らしい。また蝋燭と暖炉の炎だけで撮影された夜の室内場面は印象的。当時の人々の目に映った場面の再現だ。シェイクスピア役者でもあるケネス・ブラナーの、作家へのリスペクトが伝わってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

シェイクスピア秘話の形で"晩年"というものを描く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 シェイクスピアの晩年にはこんな出来事があったかもしれない、という一種の歴史秘話ものでありつつ、誰にでも訪れる"晩年"というものについての物語でもある。それゆえ、画面に現れる季節は常に秋で、陽光はいつも暮れなずむ黄昏の色をしている。
 長年にわたって数々の舞台を成功させ、名声も富も手に入れたシェイクスピアのような人物でさえ、晩年を迎えてもなお、後悔や不満と無縁にはなれない。そこに至って初めて気づくこともある。そんなドラマを、"幼くして死んだ息子が、父に自分の物語を完成させることを求める"という夢想的な枠組を設けてその中で描写するという演出が、物語の名手シェイクスピアに相応しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT