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恐竜が教えてくれたこと (2019):映画短評

恐竜が教えてくれたこと (2019)

2020年3月20日公開 84分

恐竜が教えてくれたこと
(C) 2019 BIND & Willink B.V. / Ostlicht Filmproduktion GmbH

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

人生の素晴らしさを教えてくれる瑞々しいバカンス映画

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 地球最後の恐竜は、果たして自分が最後の恐竜だと知っていたのか?生と死について考え始めた思春期の多感な少年が、家族と夏休みを過ごすオランダ北部の小さな島で複雑な事情を抱えた少女と出会い、淡い初恋を経験することで生きることの素晴らしさを知ることになる。人はなぜ、いずれ死ぬことが分かっているのに生きるのか。子供でなくとも誰もが一度は考えたことがあるだろう素朴な疑問に対し、主人公サムがたどり着くひとつの答えは、むしろ人生経験を重ねてきた大人にこそ響くものがあるかもしれない。ヨーロッパの風光明媚な避暑地を舞台にした瑞々しいバカンス映画としても魅力的。なんとも愛らしい作品だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

じつはかなり王道な、初恋バカンス映画

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

クランベリーの産地で知られるテルスへリング島を舞台にした、オランダ産“サマーバカンス映画”として、この時期、ちょっとした癒しを与えてくれる本作。そんななか「恐竜」の存在を通じて、死や孤独について考え、謎の訓練を始めるなど、11歳の主人公・サムの言動は、リアルで微笑ましい。そして、彼を連れ回し、大人の恋に対して、余計なおせっかいを出す少女テスとの関係性は、どこか『マイ・ガール』にも近く、“ひと夏の初恋映画”としても楽しめる。そのため、邦題に関しては、原作同様「ぼくとテスの秘密の七日間」のままで良かった気もするが、やはりインパクトを重視したか?

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

少年が抱く疑問はすべての人間共通のもの

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「最後の1頭になった恐竜は、何を思っただろう?」。そんな疑問を抱いてしまった少年が、自分を知る人々がすべて死んで自分1人になってしまったときのために、訓練をしなくてはならないと考える。そういう物語なので、主人公は少年だが彼が抱く疑問はすべての人間に共通のもの。「人間はいつか死ぬ」という事実にどう向き合うのか、そんな奥深いテーマが描かれていく。
 それを描く背景が、夏休み、一家揃っての小さな島でのバカンスなのがいい。オランダ北部の夏は、日差しはあふれているが柔らかく、海は水色で、砂は白く、画面が透明感と明るさを保つ。少年が島で出会う母娘や老人、少年の父などのキャラ設定も魅力的。

この短評にはネタバレを含んでいます
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