ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 (2019):映画短評
ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 (2019)ライター3人の平均評価: 4
やはり、情け容赦なし!
児童誘拐問題をテーマにしているだけに、“韓国版『最愛の子』”ともいえるヒューマン・ドラマとして幕を開ける本作。休業中、実生活でも2人の子の母親になったイ・ヨンエの鬼気迫る演技も、ヴィッキー・チャオに匹敵するといえるだろう。だが、ズッシリと胸に迫るサスペンスから、手掛かりとして、『魚と寝る女』を思い起こさせる不気味な釣り場にたどり着いた瞬間、いきなり田舎ホラーと化すあたり、さすが“情け容赦なし”の韓国映画。閉鎖された空間の下、主犯格や悪徳警官らを相手にしたヨンエ演じる母の戦いは、『ビー・デビル』の惨劇ふたたびといった趣。別の意味で、お涙頂戴な展開が見事に裏切ってくれる。
母性爆発
『親切なクムジャさん』以来のイ・ヨンエのスクリーン復帰作。
この一言だけで、この映画を見る理由は十分のような気がしますが、それにして見事な復帰作となりました。
やはり韓国のサスペンス作品は見応えの多い作品が続きます。
二転三転する展開は先読み不可能、先々を予見するのではなく、敢えて展開揉まれることをお薦めします。
『親切なクムジャさん』も母性の映画でしたが、イ・ヨンエには暴走する母親像がハマります。
韓国オンマ版『96時間』が激アツ!
ここ数年、活動を控えていたイ・ヨンエの見事なカムバック。行方不明になった息子と思われる少年を救うため、母親が残酷で怪しい集団に立ち向かう。まさに韓国オンマ版『96時間』だが、特殊スキルのないヒロインの武器となるのは強烈な母性愛。罵倒されても、殴られても怯まない母親の強さにシビれた。イ・ヨンエの体当たり演技も激アツ。子供が行方不明になる事件は今でも世界中で起きていて、愛する人から引き離された家族それぞれの恐怖を思うと暗い気持ちになる。これがデビューのキム・サンウ監督は多分、いつかどこかで本作を見るかもしれない被害者の子供に「あなたを探す人がいる」と伝えたかったのだろう。