春を告げる町 (2019):映画短評
春を告げる町 (2019)”復興”という言葉の重さを突きつける
もはや五輪を復興五輪と名付けていたことすら忘れられがちだが、その大義名分に違和感を抱いた理由が本作でくっきり。避難指示解除された震災6年目の広野町の人々に密着した本作。復興をテーマに舞台制作に挑む高校生たちは復興のイメージが描けず苦悩し、復興の足掛かりへと伝統行事を復活させようとする大人たちは紛糾する。現地で活動を行なっていたという島田監督ならではの被写体との近しい距離が、政府の思惑と現実の解離を赤裸々に映し出す。
制作は、役場からの依頼だという。町の再生に何が重要か。記録映像を通して情報を共有し、後世に伝えようとするこの取り組みそのものに、何よりの光を見るのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます