アドリフト 41日間の漂流 (2018):映画短評
アドリフト 41日間の漂流 (2018)ライター3人の平均評価: 3
自然への畏敬の念を思い起こさせる圧倒的な映像美
ボーイフレンドと2人だけで豪華ヨットに乗り込み、タヒチからサンディエゴへ向かったアメリカ人女性タミー。ところが、その途中で巨大なハリケーンに巻き込まれて船は難破、ボーイフレンドも重傷を負ってしまい、タミーは一人でこの苦境を乗り越えねばならなくなる。ロバート・レッドフォード主演『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』と酷似した海洋サバイバル映画だが、しかしこちらは’80年代に起きた遭難事故の忠実な映画化。ハリケーンのパニック・シーン以外は実際に南太平洋上で撮影を行ったそうで、その圧倒的なまでに雄大な映像美が自然に対する畏敬の念を思い起こさせる。シャイリーン・ウッドリーの大熱演も必見。
サバイバルに必要なのは強靭な精神力(とアナログ時計)と再確認
『エベレスト3D』に続く実話もので、B・コルマウクル監督は、サバイバル劇がお好きのよう。彼は絶望的な状況に屈せず、強靭な精神力で生き延びた人々に敬意を抱いていて、本作でもS・ウッドリー演じるタミが知恵と工夫を駆使して困難を乗り越える姿を入念に描いている。自然の脅威の前では人間はちっぽけな存在に過ぎないと思い知らされながらも、人間の持つサバイバル本能に驚嘆必至! フラッシュバックで描かれるタミと婚約者の絆が彼女の強さの源とわからせる展開も緊張感を緩ませることはなく、それこそが演出力のなせる技。ウッドリーの体当たり演技に拍手し、いざという場合はスマホじゃなくてアナログ時計が役に立つと肝に命じた!
ラブストーリーとしても見応えアリ
アイスランド時代の『ザ・ディープ』でハリウッド進出したバルタザール・コルマウクル監督が、再び海難事故モノに挑んだ意欲作。愛する人との出会いから回想シーンを巧く使った構成により、ガチなラブストーリーとしても成立させているところが興味深い。また、ハワイとタヒチ場所は違えど、『ファミリー・ツリー』のシャイリーン・ウッドリーらしいヒロイン設定でもあり、海上シーンではほとんどが彼女の独壇場となる。そのため、“海洋版『ゼロ・グラビティ』”といった印象も強いが、事実とはいえ、「なるほど!」なサプライズも用意。ハリケーンの描写など、タラ組ロバート・リチャードソンのダイナミックな撮影も見どころ。