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オフィシャル・シークレット (2018):映画短評

オフィシャル・シークレット (2018)

2020年8月28日公開 117分

オフィシャル・シークレット
Photo by: Nick Wall (C) Official Secrets Holdings, LLC

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

汚い権力に立ち向かった英国人女性の毅然

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 機密厳守は情報員の鉄則だが、その中身が正しくないものなら? イラク戦争直前の英国での実話を映画化した本作は、その一線を越えた英国人女性の胸中にフォーカスする。

 機密のリーク以後のヒロインの緊張状態を生活風景ともどもとらえている点がリアル。気の休まらない心理状態がサスペンスを盛り立てる。一方で、移民の夫を理不尽に拘束するなどの政府側のやり口には、権力の汚さが垣間見えて社会派の気骨あり。

 戦争反対の一念で行動したヒロイン像は『ジョーンの秘密』ともかぶり、英国人女性の毅然を見た。一市民としての情報員になりきったK・ナイトレーが素晴らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

一人で戦争を止めようとした女性の勇気が心強い

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

イラク戦争に反対を唱え、行動したイギリス人女性キャサリン・ガンの勇気に感服する実話だ。主人公の揺れ動く心情、彼女を後押しした正義感あふれるジャーナリズムと人権弁護士の活躍それぞれを描きながら事実を積み重ねる構成でサスペンス感を盛り上げる脚本と演出もうまい。といっても本作は政治サスペンスではなく、主役はあくまでも一個人で、焦点となるのは人間のモラル。K・ナイトレイが演じるヒロインをつき動かしたのは“良心”であり、キャリアや人生を犠牲にしてまでも戦争を止めたかった彼女の思いに深く共感した。内部告発で事態は変わらなかったが、キャサリンのような人間がもっといたらと思わせる。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

緊張感満点の、考えさせるスリラー

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

ひとつ前の「アイ・イン・ザ・スカイ〜」でも、現代の複雑な国際状況を舞台に、緊迫感に満ちた、考えさせるスリラーを作ってみせたギャヴィン・フッド。今作も、期待は裏切られなかった。実話にもとづくというところが、さらに感動ポイント。主人公は、職務違反とわかっていながら、人の命を救うために直感で動いてしまう女性。彼女が「正義のために勇気をもって行動したヒーロー」として描かれていないところもいい。たしかに彼女はすごいことをやるが、その前も、後も、ずっと迷いや恐れ、後悔を覚えるのだ。そんな内面の葛藤を見事に表現するのが、キーラ・ナイトレイ。リアルな女性像に、真のエンパワメントを見る。

この短評にはネタバレを含んでいます
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