わたしはダフネ (2019):映画短評
わたしはダフネ (2019)ある父娘の旅路を通して見つめる人々が支え合う社会の在り方
主人公は母親(オリジナル版『サスペリア』のステファニア・カッシーニ!)を失ったばかりの父親と娘。すぐに悲しみから立ち直って明るく前を向くダウン症の娘ダフネに対し、父親ルイジはそんな娘の将来への不安と深い喪失感に苛まれる。周囲の助けを必要とする障碍者が、反対に周囲の人々を励まし救っていく。ダフネ役を演じるカロリーナ・ラスパンティがとにかく素晴らしい。パワフルで聡明で率直な彼女は、健常者と違った視点で世の中を達観しており、ズバズバと歯に衣着せぬ物言いで迷える人々を叱咤激励する。その溢れんばかりの生命力はアンナ・マニャーニの如し。そんな父娘の旅路を慈しみ深く見つめる演出がまた味わい深い。
この短評にはネタバレを含んでいます