燕 Yan (2019):映画短評
燕 Yan (2019)高雄の原風景と幻想的な音楽に吸い込まれる
「冬を台湾で暮らし、夏を日本で暮らす燕」のように、台湾で生まれ、日本で暮らしてきた28歳の青年の自分探しの旅。自身のアイデンティティについてや、一青窈演じる母親との回想シーンなど、どこか『スワロウテイル(中国語タイトル:燕尾蝶)』を思い起こさせる描写もあり、なかなか興味深い。そんななか、19年を代表する『ホットギミック』『新聞記者』でのクールかつ温かみを感じさせる画作りが特徴的な撮影監督、今村圭佑の本領発揮! 高雄の昼の街並みと夜市の風景など、やはり光の使い分けは見事であり、いわゆる成長物語な脚本の弱さは否定できないなか、幻想的な音楽とともに吸い込まれていくようだ。
この短評にはネタバレを含んでいます