ライド・ライク・ア・ガール (2019):映画短評
ライド・ライク・ア・ガール (2019)ライター3人の平均評価: 3.3
逆境から栄光へ、夢を追い突き抜けた女性騎手の実話
男性優位社会での女性の生き辛さは言うまでもないが、オーストラリア競馬界も例外ではない。そんな逆風の中で伝統のレース、メルボルンカップを女性で初めて制した騎手M・ペインの実話を映画化。
性差のみならず父との軋轢や大怪我を乗り越える、そんなヒロインのドラマは結末を知っていても胸アツ。ダウン症を乗り超えて厩務員となった弟や、怪我の多い愛馬などの、逆境の者たちとの共闘に焦点を絞ってく展開もうまい。
豪州の世界的な女優R・グリフィスは本作で監督デビュー。ヒロインの飽くなき夢の追求に物語の重点を置き、逸話を丁寧に積み重ねた手腕が光る。競馬ファンならずともグッとくる良心作。
子供たちに見せたい、努力と家族の物語
よくある話といえばそうなのだが、文字通り、転んでも転んでも立ち上がる主人公には感動させられる。少女たちにぜひ見てもらいたい、すばらしいお手本を示してくれる実話映画。実際の映像を織り交ぜながら展開させる手法も効果的。ダウン症の弟の役を本人にやってもらったことで、そこがより自然になっている。レースシーンにもう少しスリルと迫力があっても良かった気はするが、この映画が語るのは家族の物語であり、夢のために努力をすること。そして、女の子だって勝てるというメッセージだ。今作で監督デビューを果たすレイチェル・グリフィスは、そこをきちんと達成したと思う。
クライマックスのレース展開に前のめり!
男社会の競馬界に乗り込んだ女性騎手ミシェル・ペインの実話を描いた、女優レイチェル・グリフィス(修道女役でカメオ出演)の長編デビュー作。男勝りなヒロインを取り巻くサム・ニール率いる競馬一家のドラマを軸に、ダウン症の弟をミシェルの実弟本人が演じていることもあり、『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』同様、ちょっとした魔法がかかっている。過酷な減量や頭蓋骨骨折後のリハビリなどの苦悩も描かれているものの、スポ根モノとしての“溜め”がないこともあり、観やすい一方、カタルシスに欠けるのは惜しまれる。とはいえ、クライマックスのレースシーンは、手に汗握り、前のめりになること必至!