8日で死んだ怪獣の12日の物語 -劇場版- (2020):映画短評
8日で死んだ怪獣の12日の物語 -劇場版- (2020)ライター2人の平均評価: 4
劇場版 withコロナ
コロナ渦の中でリモートで映像作品が作られるようになってきましたが、この作品はそれが劇場公開まで結ぶ付いたという点ではおそらく第1号でしょう。
樋口真嗣監督発信と言うことで、岩井俊二監督のオタク的な部分が思い切り前面に出たなという感じです。
実はSF的な世界観が大好きなのでしょう。
基本的に自撮りかリモートのアングルしかないのですが、合間合間に閑散とした東京の風景を挿入したりと拡がりを感じる画作りになっています。
しかし、寡作とは言わないまでも量産型ではない岩井監督の新作が今年は結果的に3本も公開されるとは面白い巡り合わせになりました。
リモート撮影を逆手に取った“岩井版「ウルトラQ」”
先行公開された「YouTube版」に、のん演じるカプセル星人を育てる後輩役や樋口真嗣監督演じる“怪獣に詳しい友だち”、穂志もえか演じるYouTuberらの未公開シーンを加えたオリジナル全長版。「ポケモン」の元ネタとして知られる「ウルトラセブン」のカプセル怪獣をネタに、特撮マニア心をくすぐる会話やリモート撮影を逆手に取った展開、さらにモノクロ映像の効果も相まって、“岩井俊二版「ウルトラQ」”に仕上がっている。「YouTube版」超えのジワるオチなど、完全にコロナ禍における企画モノの域も超えつつ、斎藤工主演の樋口監督作『シン・ウルトラマン』のプロローグとして観ると、かなり興味深い一本といえる。