アーニャは、きっと来る (2019):映画短評
アーニャは、きっと来る (2019)おおらかな風景が教えてくれる
フランスのピレネー山脈の麓の小さな村、羊飼いをして暮らす村人たちの物語なので、風景がまるで70年代アニメ「アルプスの少女ハイジ」。遠くまでなだらかな傾斜を広げる緑の野原、その上をゆっくり移動して行く白い羊たち、その向こうに見える青い山々。村を占領したナチスの兵士の中には「自分も同じような土地で育った」と語り、地元の少年と一緒に山の上の鷹の巣を見に行こうとする者もいる。風景が、さまざまな戦争が実は地続きの同じような土地で育った人々同士の戦いであることを、痛感させてくれるのだ。そんな物語の中に、ジャン・レノとアンジェリカ・ヒューストンが演じる、若くない2人の穏やかな恋愛が描かれるのも粋な演出。
この短評にはネタバレを含んでいます