VIDEOPHOBIA (2019):映画短評
VIDEOPHOBIA (2019)クローネンバーグ×『他人の顔』in ディープ大阪
予告のように、強烈なカットを畳みかけるのではなく、着地点が見えないながら、淡々と流れていくヒロインの日常。あえてモノクロで捉えた、煌びやかな大阪の街並みと相まった意外性に引きつけられる。タイトルだけでなく、実験的な映像からジワジワ忍び寄る不穏な空気感、社会派やサイコスリラーの枠にとらわれない自由さは、初期クローネンバーグ監督作のよう。さらに、メインヴィジュアルやテーマ的には勅使河原宏監督の『他人の顔』のよう。88分の上映時間にしては、それなりの体感時間があり、観た直後はモノ足りなさもあるが、後々になって、さりげないカットがボディブローのように効いてくるのは宮崎大祐監督の狙いか。
この短評にはネタバレを含んでいます