記憶の技法 (2020):映画短評
記憶の技法 (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
意外にも骨太なところのある青春ミステリー
幼少期の不可解な記憶の断片に悩まされていた女子高生が、韓国への修学旅行でパスポートを申請する際に自分が養女であることを知り、生みの親を探し出すため出生地の福岡へ赴いたところ、そこで衝撃的な真実を知ることになる。そういうことだろうな…というのは早い段階で概ね想像がつくし、テレビの2時間サスペンス的な都合の良さも少なからず目立つものの、大人によって人生を翻弄されてしまった子供たちの再生を軸とした物語は、なんとなく『罪の声』を彷彿とさせ、意外にも骨太な青春ミステリーとして仕上がっている。
記憶と思いと愛情のロードムービー
これは見ておいてよかったと思える作品でした。
ひとえにヒロイン石井杏奈の好演によるところが大きいと思いますが、複雑なテーマをうまくさばいた作劇も見どころです。近年の活躍が目覚ましい池田千尋の演出と髙橋泉の脚本の巧みさには唸らせます。
本作が惜しくも芸能界引退作となってしまった栗原吾郎の演技も印象に残ります。
ミステリー仕立てになっているので、最後までグイグイと見る者を引っ張てくれます。
多くの出来事を経験したうえでの救いに満ちたラストシーンは忘れ難いものになりました。