ローズメイカー 奇跡のバラ (2020):映画短評
ローズメイカー 奇跡のバラ (2020)人間を育てることで自らも成長する経営者の物語
バラを愛してバラに人生を捧げた一流のバラ農園主が、量産体制で生花市場を席巻する大企業に一矢報いるべく、コンクールでの優勝を狙って新種のバラの開発に乗り出す。職人肌の中小企業が利益と効率を重視する巨大資本に挑むという物語は珍しくないが、しかし本作の肝となるのは、主人公を助けるのが非正規雇用のド素人たちということだろう。バラの世界だけに埋没してきたヒロインが、様々な事情を抱えて社会からドロップアウトした人々を通して視野を広げ、やがて経営者として人間を育てることの大切さに気付いていく。中でも実親に棄てられた不良青年との疑似親子的な心の交流が感動的で、オフビートなユーモアのサジ加減も絶妙だ。
この短評にはネタバレを含んでいます