グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告 (2020):映画短評
グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告 (2020)ライター3人の平均評価: 3
まろやか味になったデ・ニーロ爺さん。リラックスして楽しめる
物語は無関係だが、タイトルが似てる『ダーティ・グランパ』のデ・ニーロは、下半身ギャグも含め、観ているこちらが恥ずかしくなる痛々しさだった。対して今回は、全体にマイルドな行動および演技。孫との対決も、過激さより楽しさが強調され、どちらかと言えば近年の当たり役『マイ・インターン』に近いかも。ともに妻を亡くした設定だし…。アナログのレコードを愛しつつ、ドローンなど最新機器にも挑むデ・ニーロの奮闘は、確かにパンチに欠けつつ、こうした、ほんわか系アメリカンコメディの日本での劇場公開がレアケースとなってる今、一服の清涼剤と感じる人も多いのでは? 娘婿役のロブ・リグルも、期待を裏切らない見せ場でグッジョブ。
デ・ニーロ相手に“身内版『ホーム・アローン』”
自分の部屋をめぐって、デ・ニーロ演じる爺さん相手にちびっ子が奮闘する“身内版『ホーム・アローン』”。ローテクVS.ハイテクによる、いやがらせ合戦は『スポンジ・ボブ: スポンジ・オン・ザ・ラン』の監督らしい毒っ気ある笑い&ユルさが注入されており、トランポリンパークでのドッジボール対決やパーティ大騒動などのドタバタは予定調和な安心感を味わえる。ちなみに、『ゴッドファーザー』ネタも飛び出すデ・ニーロだが、『恋に落ちたら…』ではカノジョ役だったユマ・サーマンがフツウすぎる娘役を演じることに時代の流れを感じ、『ディア・ハンター』以来となるクリストファー・ウォーケン共演作であることに驚き!!
孫はいつも可愛い、ってワケでもない?
"老人にとって孫は無条件に可愛いものに決まっている"という世間の通説を、あっさり無視したところから話が始まるところが痛快。年配の女性が「孫ってときどきウザいわよね」というシーンもあるので、これはもう確信犯。孫が宣戦布告すれば、祖父がきっちり受けて立ち、それぞれが同年代の仲間たちと協力して世代間抗争が始まる。
そんな戦いなので"楽しいバトル"になるのが必須条件だが、そこはロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジェーン・シーモア、チーチ・マリンの豪華ベテラン俳優が余裕のたたずまいでクリア。結果、子供たちが"戦争はなぜ発生するのか"を学ぶという、意外と深い話でもあったりして。