沈黙のパレード (2022):映画短評
沈黙のパレード (2022)ライター3人の平均評価: 4
目くらまし的な謎解きのトリックが巧妙
下町の商店街で愛される料理店の娘が失踪し、その数か月後に遺体で発見されるという事件が発生。証拠不十分で釈放された容疑者は、過去にも同様の事件で逮捕されていた。容疑者へ向けられる地元の人々の憎悪。そして商店街の夏祭りパレードの当日、容疑者の遺体が発見される。映画版「ガリレオ」シリーズの第3弾。おや、これはもしかして『オリエント急行殺人事件』の応用じゃありませんか…?と思わせておいて、意外な真相へと落とし込んでいく謎解きトリックが非常に巧妙。全体的にテレビの2時間ドラマ的な印象は否めないものの、法律の限界や復讐心の危うさにフォーカスしたストーリーは非常に理知的だ。
ずん飯尾が泣かせる!
被害者少女のエピソードが、彼女が歌う「Jupiter」に乗せて描かれる冒頭のモンタージュ。これぞエンタメ要素と人間ドラマの融合を得意とする西谷弘監督の真骨頂であり、そんな9年ぶりとなる「ガリレオ」の世界観に、違和感なく没入できる仕掛けに圧倒される。さらに久しぶりな湯川先生と内海刑事のコミカルな掛け合いも見どころながら、今回の軸となるのは、北村一輝演じる草薙刑事の苦悩と葛藤。まるで幻影のように回想シーンに登場する川床明日香の儚さもいいが、彼女の父親を演じた飯尾和樹が泣かせる芝居まで魅せて大健闘。丁寧な演出に加え、予想を軽く裏切る展開もさすがで、今回も当たりの「劇場版」に仕上がっている。
やはり、映画のガリレオは良い!
やはり、映画のガリレオは良い!と思わせてくれヒューマンミステリーでした。
シリーズファンとしては柴咲コウ演じる内海薫の復活が嬉しいです。湯川学と内海薫、草薙俊平の3人が並ぶ姿が一番しっくりきますね。
理系のイメージのある東野圭吾作品ですが、その軸にあるものはメロドラマ性だと思います。ガリレオシリーズの長編映像作品はその部分をしっかりと抽出していて、演じ手作り手もその部分をちゃんと分っているために、原作からの多少のアレンジがあっても違和感がありません。『容疑者X』を見直したくなりました。KOH+の主題歌も良かったです。