Pure Japanese (2021):映画短評
Pure Japanese (2021)ライター2人の平均評価: 3
カルト臭漂うバイオレントな問題作
経済的な豊かさも心の豊かさも失った現代日本。過去のトラウマから日本人であることに執着する男が、身寄りをなくした孤独な少女を救うため歪んだ正義感を暴走させ、有権者を騙して外資に土地を売り飛ばす悪徳政治家とヤクザを片っ端から殺しまくる。ピュア・ジャパニーズ(=純日本人)という非科学的な幻想にアイデンティティを求め、静かに狂っていく日本人と崩壊していく日本社会を映し出した問題作。主演のディーン・フジオカが企画・製作を兼ねているということで、ヤバめなカルト臭がプンプン漂うのは、さすが『I am ICHIHASHI』を監督しただけのことはある。その欠点を含めて愛すべき怪作だ。
ディーン・フジオカが手榴弾をブチまける!
ニコラス・ツェー、イ・ジョンジェに続き、ディーン・フジオカが手榴弾をブチまける! 過去に『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』を手掛けた彼のクリエイターとしてのブッ飛んだセンスは、自身演じる現代の忍者が『海を駆ける』の謎の男に通じる不穏な空気を放ちつつ、完全にイカれてることでも一目瞭然。そのため、中国人ブローカーとヤクザに立ち向かう展開では、救世主ヒーロー像に見えながら、己の生き方を正当化しようとする不条理さが爆発。そんな珍妙さがありつつ、88分に日光江戸村のガイド要素や坂口征夫とのバトルなどの『殺し屋1』<ひとり『V.マドンナ大戦争』も詰め込んだプログラム・ピクチャーといえる。