かがみの孤城 (2022):映画短評
かがみの孤城 (2022)ライター2人の平均評価: 4
デスゲームじゃなくて生きるためのゲーム
辻村深月の原作を原恵一監督がアニメ化。学校や家庭に居場所のない7人の中学生が、鏡の世界の城に集められて1年を過ごす。現実がデスゲーム化している少年少女たちが、ファンタジーの中で生きるためのゲームをするという、厳しさと優しさが同居したストーリー。「動」ではなく「静」の作品だが、主人公の心の中は常に激しく波打っていて、見ているこちらの胸が詰まる。生きづらい思いをしている子どもたちに観てもらいたい作品。声優陣はみんな見事なのだが、声が印象的なフウカを演じていたのが『義母と娘のブルース』の子役、横溝菜帆で驚いた。
『カラフル』の感動、ふたたび
前作『バースデー・ワンダーランド』でガチなファンタジーとの相性の悪さが露呈された監督:原恵一×脚本:丸尾みほコンビだが、今度もファンタジー設定でもテーマ的には『カラフル』寄り。「カギ探し」という1年間の冒険を通して、不登校の主人公・こころら、思春期の少年少女ならではの感情が描かれ、舞台となる孤城は彼らにとってのフリースクール的存在となる。やっぱりスゴい芦田愛菜ら俳優陣と「アレ」も飛び出す高山みなみらの声優陣の混成キャスティングも、特に違和感なし。制作会社「A-1 Pictures」クオリティもしっかり保たれており、派手さには欠けるものの、心に突き刺さるウェルメイドな作品に仕上がっている。