ミューン 月の守護者の伝説 (2014):映画短評
ミューン 月の守護者の伝説 (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
"聖なる獣"が守護者を乗せて優美に動く
「夜の世界」と「昼の世界」が同時に隣り合わせに存在する世界。世界を運行させるのが役目の「月の守護者」と「太陽の守護者」が、新任者に引き継がれることになるがうまくいかない。「夜」と「昼」を象徴的に描く、色と形の対比。中でも、それぞれの守護者たちが乗る"聖なる獣"の巨大さ、造形と動きの優美さ。空と大地の広大さ。主要キャラたちは、顔と2つの手、2つの足を持つが、人間ではない。2つの世界の間を行き来する、温まりすぎると溶けてしまう、ロウの女の子。邪悪なささやきをする、白くて細いうねる生き物。すべての存在が、地球にもある何かに似ているが、何かそのものではない、アニメだから可能な形をしている。
ヨーロッパらしい幻想美が堪能できるフランス産3Dアニメ
太陽の照りつける昼間の世界と、月が光り輝く夜の世界が共存する不思議な惑星。ひょんなことから「月の守護者」に選ばれた無邪気な森の少年ミューンが、その未熟さゆえに大切な月を失い、太陽まで冥界の王に盗まれるという事態を招いてしまう。そこで彼は、「太陽の守護者」ソホーンや蝋人形の少女グリムと協力し、太陽を取り戻して月を復活させるための旅に出る。そこかしこにピクサーやジブリ、ライカなどからの影響を感じさせつつも、日米とはまた一味違うヨーロッパらしいレトロな幻想美を堪能させてくれるフランス産3Dアニメーション。特にキャラデザインが魅力的。なんとなくリュック・ベッソンの「アーサー」三部作をも彷彿とさせる。