ウォーハント 魔界戦線 (2022):映画短評
ウォーハント 魔界戦線 (2022)ライター3人の平均評価: 3
往年のエンパイア作品を彷彿とさせるB級オカルト・ホラー
第二次世界大戦末期のドイツ、墜落した偵察機から機密情報を回収する任務に当たる米軍部隊が、暗い森の奥深くで邪悪な3人の魔女に遭遇する。ロバート・ネッパーにミッキー・ロークが主演ってとこからB級感丸出しのオカルト・ホラーだが、しかしこれが意外にもなかなか面白い。魔女の見せる幻覚にたぶらかされ、互いに殺し合いを始める米兵たち。古き良き特殊メイクを駆使したゴア描写といい、ダークでヨーロピアンなゴシック・ムードといい、それこそ’80年代にエンパイア・ピクチャーズがイタリアで撮ったB級ホラー映画群を彷彿とさせる。軍服姿でアイパッチを付けたミッキー・ロークも最高。魔女トリオが適度にエロいのもポイント高し。
ウーヴェ・ボル監督作にも通じるセンスのなさ
森に貞子な幽霊が登場する『呪縛 -THE JUBAKU-』や“魔女版『フラットライナーズ』”な『ゴーストメイカー』など、C級街道まっしぐらなマウロ・ボレッリ監督作。ナチスのオカルト研究をベースに、米軍部隊が未知の敵と戦うハメになる今回は、『オーヴァーロード』ありきのホラーアクションだ。『ウェズリー・スナイプス コンタクト』のウェズ並みに出番が少ないミッキー・ロークはまだしも、『プレデター』になりきれない魔女をめぐる極秘文書の謎など、大風呂敷を広げつつ、投げやり感丸出しなクライマックスに至るまで、トホホなシーンが連続。ウーヴェ・ボル監督にも通じるセンスのなさは、違う意味で一見の価値アリだ。
第二次世界大戦 x 魔女 x 人間心理
第二次世界大戦下、連合軍の小隊が、ドイツの森に墜落した飛行機が積んでいた重要文書を回収するため、暗い森に足を踏み入れるが、そこで怪異が起きる。
ナチスによるオカルト研究を背景に、生命の樹、魔女、青い花などの欧州の伝説アイテムを投入、ラトビアで撮影された森はそのまま湿って暗いヨーロッパの森だが、そこに一捻り。この暗い森で、次第に気配を濃くする魔女、適正な判断力を失った上官、精神的に不安定になった同僚兵士に囲まれたとき、もっとも恐ろしいのは何なのか。そんな恐怖の物語が描かれる。『プリズン・ブレイク』のロバート・ネッパー、『レスラー』のミッキー・ロークがそれぞれイメージ通りの怪演。