愛する人に伝える言葉 (2021):映画短評
愛する人に伝える言葉 (2021)最後の瞬間を心穏やかに迎えるために出来ること
ステージ4の膵臓ガンを告知された38歳の男性が、死への恐怖や生への渇望、そして平凡な人生の様々な後悔に苛まれつつ、気丈な母親や寛大な担当医に見守られながら徐々に現実を受け入れ、心穏やかに最後の瞬間を迎える。個人的にお涙頂戴の難病ものはあまり好きではないのだが、これは強く心動かされるものがあった。人間誰しも死を免れることは出来ない。そんな残酷だが動かしがたい事実を冷静に踏まえ、遅かれ早かれやって来るその時をいかにして迎えるのかという本人の視点に加え、どのように送り出すのかという家族や医療従事者の視点を交えることで、むしろ限りある人生の尊さを称える。悲しみよりも安らぎを感じる稀有な作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます