君は放課後インソムニア (2023):映画短評
君は放課後インソムニア (2023)ライター3人の平均評価: 4
石川県七尾の風景も空気感あり。
一風変わってはいるが、とても爽やかな青春映画だ。なんといっても奥平大兼と森七菜の二人を主演に選んだのが勝因。とりわけ、森七菜がのびのびと、全身で嬉しさ楽しみを表現するのは稀有な瞬間であると改めて思う。実は不眠症であるこの二人が安眠の場所である学校天文台を存続させるため、周囲を巻き込んで天文部を再創させていこうとするグルーヴ感!恋愛ものになりそうでならず、でもやっぱり…な展開も胸キュン。また脇を固める女優陣……桜井ユキ、MEGUMI、田畑智子らが特に光るんだけど、天文部の先輩・萩原みのり+森七菜のちょっとヤンキーな姐・工藤遥(『のぼる小寺さん』以来の快演!)ふたりのドスの効きっぷりが素晴らしい。
姐御キャラにも注目したい!
役者としてのタイプは違えど、間違いなく天才肌である森七菜×奥平大兼が引き起こす化学反応は想像以上のもの! そんな2人の好演に加え、池田千尋監督による丁寧な演出、高橋泉による無理のない脚色もあり、決してキラキラだけじゃない原作の持ち味を再現している。高校の天文台など、原作のモデルとなった石川県七尾市でのロケーションもノスタルジックな雰囲気を醸し出しているほか、自然音などの音響に対するこだわりに関しては劇場体感型。青春映画にありがちな後半にかけての失速感は否めないが、萩原みのりの白丸先輩と工藤遥のお姉などの姐御キャラが妙に魅力的ということもあり、★おまけ。
主演二人を決められたのが勝因
主役の二人に森七菜と奥平大兼を持ってこれたのが勝因と言えるでしょう。この二人のおかげで映画がライトな青春モノだけにとどまらず、一味違う逸品となりました。森七菜の突き抜けキャラと奥平大兼の受け身のキャラが非常に良いコントラストをなしています。共演陣で言えば桜井ユキが流石の巧さ。周りの大人たちも程よく”いい人”で塩梅の良さを感じます。2時間弱に巧くまとめた監督&脚本の池田千尋監督の手腕も相変わらずお見事です。そろそろメジャー大作を手掛けるのも良いのではないでしょうか?細かいところですが、不眠の症状の描写がリアルでした。