奈落のマイホーム (2021):映画短評
奈落のマイホーム (2021)ライター2人の平均評価: 4
韓国でしか作れない災害パニック映画の快作!
ソウル市内で地下500メートルの巨大陥没穴=シンクホールが出現し、新築マンションが丸ごと呑み込まれる事件が発生。折からの大雨で穴が水没していく中、マンションに取り残された人々が決死のサバイバルを試みる。ハリウッド映画ばりの大規模な災害パニックをベースに、韓国の住宅事情を取り巻く諸問題への痛烈な風刺を込めたスペクタクル・コメディ。皮肉の効いたブラック・ユーモアを散りばめつつ、極限状態のスリルとサスペンス、VFXを駆使した災害シーンなど畳みかけるような見せ場の連続。さらに、泣きのツボもしっかりと押さえている。韓国で昨年度の年間興行収入ランキング2位というのも納得の面白さだ。
笑いも涙もゴッタ煮なディザスタームービー
『なまず』でもネタにしていたソウルにおけるシンクホール問題を、ディザスタームービーにしたのは『ザ・タワー 超高層ビル大火災』のキム・ジフン監督。地上108階から地下500mに舞台を移し、泥地獄やら水地獄やら、次々と襲い掛かる災難からサバイブする展開のなか、今回も笑いと涙をゴッタ煮にした力業演出で、韓国映画が得意とするエンタメに仕上げている。前半、夢のマイホームからどん底に堕ちるキム・ソンギュン演じる主人公とそりが合わないチャ・スンウォン演じる隣人ら、クセが強いキャラ紹介に時間を費やしている感もあるが、エンディングに流れるノー天気な楽曲を聴くと、そんなことすら気にならなくなる!