ほの蒼き瞳 (2022):映画短評
ほの蒼き瞳 (2022)ライター2人の平均評価: 3
若きエドガー・アラン・ポーのキャラが抜群
19世紀の寒々しい米東海岸を舞台に、陸軍士官学校で起こった猟奇殺人事件に元刑事と後に文豪となる青年時代のエドガー・アラン・ポーが挑むミステリー。魔女狩り、悪魔崇拝などを絡めた序盤、中盤は重厚に進むが、事件解決かと思いきや終盤に怒涛の展開が訪れる。クリスチャン・ベイル演じる主人公のバディとなるポーは、士官学校のホモソーシャルに馴染めなくて、頭の回転がキレキレで、ビブリオフィリアで、大酒飲みで、女性に一途で、詩人という抜群のキャラ。『クイーンズ・ギャンビット』でも印象的だったハリー・メリングが好演しているが、本物のポーの写真と顔の骨格がそっくりなのがすごい。ポーが探偵になるスピンオフが観てみたい。
前半はスローだが最後に意外なる展開がある
1830年代の東海岸を舞台にしたゴシックミステリー。ハワード・ショアの音楽と、スコット・クーパー作品の常連であるマサノブ・タカヤナギのシネマトグラフィーが、厳かに迫り来るムードを醸し出す。ストーリーの語り方も同様で、静かに、ゆっくりと進むが、後半に思わぬ展開が待ち構えていて、そこまで見た甲斐があったと思わせる。いつものことながらすばらしいクリスチャン・ベイルの演技の見せ場も最後にしっかり用意されていて、彼がこの役をやりたいと思ったことに納得。エドガー・アラン・ポーのオリジンストーリーであるところも興味深い。シャルロット・ゲンズブールが無駄遣いされているのがちょっともったいない感じ。