郊外の鳥たち (2018):映画短評
郊外の鳥たち (2018)都市開発の只中で地層に埋められた「子供の世界」
1989年生まれでビー・ガンやフー・ボーやグー・シャオガンと同世代、チウ・ション監督の2018年の長編デビュー作。着想源はカフカの『城』らしく、測量士Kならぬハオが地盤沈下が進む郊外の街にやってくる。そこで地中に埋まっていたかのように掘り起こされるのは、同じハオという名を持つ者の少年時代という“誰かの記憶”だ。
リニアな回想ではなく、別個の質を持つ「子供の世界」と「大人の世界」がパラレルに描かれる。確かに我々の少年時代はイノセンスの終焉と共に一度完結するのかもしれない。ズームの多用など特異な映像スタイルを取りつつ、双眼鏡などのアイテムがふたつの層を繋ぐ様はガルシア=マルケスなども連想。
この短評にはネタバレを含んでいます