禁じられた遊び (2023):映画短評
禁じられた遊び (2023)ライター4人の平均評価: 4
お笑いに振り切り、やりたい放題
“日本版『ペット・セメタリー』”で始まりつつ、しっかり『リング』『仄暗い水の底から』あたりの中田秀夫監督の得意分野に持ってくる、いい意味での強引さ。それだけに留まらず、ファーストサマーウイカ演じる美雪のどうかと思えるほどの嫉妬度合など、もはやお笑いに振り切っており、絶叫というより変顔にしか見えない橋本環奈に加え、「今日から俺は!!」の体育&数学教員による胡散臭い霊能者コンビや、何かと怪事件に巻き込まれがちな倉悠貴など、キャスティングの妙も効いている。重岡大毅の演技力を活かせたかどうかは置いといて(笑)、その詰め込み方も含め、中弛みが目立った『ミンナのウタ』より面白い!
『シャイニング』顔の橋本環奈に拍手!
埋めて祈れば死体が甦る、そこから発生する恐怖を描いた和製『ペット・セメタリー』。それだけでも面白いのだが、プロットは一歩踏み込んでヒネってくる。
霊だけでも怖いのに、その共犯者の意外な正体があぶり出される面白さ。ハリウッド製ホラーには、よくある展開だが、そこに黒髪の幽霊という和的要素を含めた邦画らしさが潔い。まさしく、中田秀夫の名人芸だ。
役者たちの“怯え”の演技も光っているが、『シャイニング』のヒロイン、シェリー・デュバルにケンカを売っているかのような、橋本環奈の大きな目玉をさらに見開いた仰天顔が、じつはいちばん怖い!?
「平成の貞子」ならぬ「令和の美雪」の誕生
そうか。かのルネ・クレマン監督の不朽の名作と同タイトルなのは「お墓のシーンが重要!」ってことなのか(原作由来)。恐怖ムービーにしてトンデモ系のはっちゃけた面白さを確信犯でやり通したエンタメホラー。ダブル主演、橋本環奈も重岡大毅も「求められたアクションとリアクション」をよく分かって表象している。
人間の“嫉妬と憎悪”を背負った新ホラーアイコン、第三形態まである「美雪」と、それを肉体化したファーストサマーウィカ寄りに、いつの間にかなってしてしまう。「平成の貞子」ならぬ「令和の美雪」の誕生だ。中田秀夫監督にはJホラーのオリジネーターの意地と、それを更新してやろうという意志を感じた。
二転三転が心地よい
中田秀夫監督によるホラー最新作。二転三転するストーリーは最後まで飽きさせない作りになっていて、一気に駆け抜けた感があります。感情表現が豊かな橋本環奈はホラーに向いていると思うので今後もコンスタントに出て欲しいところです。注目はキーパーソンの”美雪”を演じたファーストサマーウィカ。クライマックスの特殊メイク姿も出色でしたが、それ以上に何もしていない時の序盤の方が気味が悪くて良かったです。ホラーの匠の采配のもとに適材適所なキャスティングで、”お手本”のような一本ですね。