アナログ (2023):映画短評
アナログ (2023)ライター2人の平均評価: 3
涙の一滴も出ないけれども…。
‘15年の年末TVスペシャル『赤めだか』の縁か、二宮和也、ビートたけし、タカハタ秀太が組んだいわばメロドラマ。冒頭スローモーションで描かれる波に象徴されるように海というロケーションが大きな意味を持つ(糸電話でニノと波瑠が喋るシーンなど、ワイドスクリーンならでは)。しかし、それにしてもあまりに意外性のないベタすぎる展開に白けきってしまうんだよなあ。ただ、コメディ・リリーフとして秀逸な桐谷健太&浜野謙太の悪友コンビや、母親役の高橋惠子、カフェ店主リリー・フランキーらが(物語の展開される舞台が幾箇所かにかなり限定されているだけに)かなりの効果を発揮していて、楽しんでしまうことも確かである。
大人のファンタジー
スマホなどのモバイルもSNSも介在しない恋愛劇を現代で成り立たせるというのは、一種のファンタジー映画を作るようなものだと思い、一歩間違えると本当に空疎な絵空事になりかねないのですが・・・。意外と突飛なアイデアの映画化に実績があるタカハタ監督の手法が巧くはまりました。また二宮和也と波瑠のメインカップルの存在感はもちろん、桐谷健太、浜野謙太、リリー・フランキーといった芸達者が並んで大人のファンタジーに仕上げました。ベタと言えばベタですが”待ち合わせ”のドキドキ感を思い起こさせられました。