ADVERTISEMENT

雄獅少年/ライオン少年 (2021):映画短評

雄獅少年/ライオン少年 (2021)

2023年5月26日公開 104分

雄獅少年/ライオン少年
(C) BEIJING SPLENDID CULTURE & ENTERTAINMENT CO.,LTD (C) TIGER PICTURE ENTERTAINMENT LTD. All rights reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

圧倒的にリアルな映像美と夢物語に終わらないストーリーが感動的

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 もはや実写を完全に凌駕したのではないかと思えるほど、圧倒的に写実的かつ詩的で幻想的な映像の美しさに目を奪われる中国産3Dアニメーション。改めて中国アニメの進化には驚かされるが、現代中国の格差社会を背景にしたストーリーがまた素晴らしい。貧しさゆえバカにされ虐められ続け、負け犬根性の染みついてしまった田舎の少年が、伝統の獅子舞に打ち込むことで師匠や仲間との固い絆を育み、やがて日々の過酷な試練にも屈することのない強靭な魂を覚醒させていく。真面目に生きる平凡な人々にもチャンスが与えられる社会を願う作品。夢物語のような奇跡に頼らない現実的なハッピーエンドもまた味わい深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

逆境に立ち向かう“獅子舞版『少林サッカー』”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

香港映画好きなら『ヤング・マスター/師弟出馬』や『ワン・チャイ/天地争覇』を思い起こさせる獅子舞バトルをテーマにした中国アニメだが、人生の一発逆転を狙うズッコケ3人組&師匠のキャラ設定に、彼らが繰り出すナンセンスギャグなど、まさに“獅子舞版『少林サッカー』”である。ほかにも『ミラクル7号』『西遊記』などのエッセンスも詰め込まれているため、改めてチャウ・シンチーの偉大さを痛感しつつ、色彩の美しさだけでなく、モフモフ感ハンパない獅子舞のCGにも圧倒される。欧米を意識したようなつり目・猿顔なキャラデザインは若干気になるものの、『羅小黒戦記』とは別の意味で、中国アニメの勢いを感じずにはいられない!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

細部の作り込みの密度に圧倒される

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 細部の作り込みの途方もない密度に圧倒される。わざわざ水滴を1粒飛ばし、そこに周囲の景色の映り込みを描くのを筆頭に、背景の家屋の壁、店先の商品の数々、道端の植物などのすべてが、形だけでなく、質感と色調にも細かなニュアンスが加えられている。

 中でも際立つのが、光の表現。樹の葉の間から漏れてくる光から、ビルの谷間から差す朝日の最初の光、そして逆光まで、ありとあらゆる光を、強弱、質感、色調を緻密に変化させて表現し、これでもかと見せつける。

 そうした映像で描かれる物語は真っ直ぐな感動ドラマで、ギャグのベタさも逆に新鮮。また、冒頭の水墨画タッチのアニメも素晴らしく、この作風の長編も見たくなる。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT